新規事業開発の実務

どうせすぐ忘れるんでしょ\(^o^)/

スタートアップの基本戦略

お疲れ様です。
NOREL事業担当の直人です。

最近、改めて "伝統的な" 事業戦略を勉強しています。事業を推進していると、どうしてもサービスの目先の数字やタスクに追われ近視眼的になってしまうのですが、事業戦略という一歩引いた視点からNORELを見つめ直すことにより、目の前にある課題やタスクに筋の通った意思決定ができるな、と戦略の重要性を再確認しています。

経営層への説明や、チーム内でのコミュニケーションを取る上でわかりやすいと思ったので、本エントリでは「NORELの基本戦略」について、一部おさらいしてみようと思います。

前提

NOREL開発チームメンバーが読むことを前提に書いているので、使われる用語について軽く説明しておきます。

「競争の戦略」という経営戦略の有名な本を書いた、マイケル・ポーターという有名なおじさんの戦略論を前提にしています。IDOMの前身であるガリバー・インターナショナルは2006年に「ポーター賞」を受賞しているので、聞いたことがあるかもしれません。

ポーター先生は「ファイブフォース」「3つの基本戦略」「バリューチェーン」といった概念で有名です。

基本戦略

先生は、「企業の戦略は様々なものがあるが、細かなものを取り払ってしまえば、基本類型は一般に3つに収斂する」と主張したそうです。

 

その3つの類型が「コスト・リーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」です。ちなみにここでいう「差別化」は「付加価値が業界平均よりも高い」という意味で、マーケティング用語の「製品差別化」「価格差別化」といった「他社と違うこと」とは異なるものです。

ポーターは、これら3つの戦略は相容れないものであり、戦略的にはっきり割り切った企業の業績が優れていると主張しました。シェアが最大のプレーヤーと、小さくセグメントされた特定市場に集中したプレーヤーの収益性が高く、中途半端なプレーヤーは利益をあげられない、というものです。

NORELの基本戦略

NORELは、現在のところ「差別化戦略」を採っています。つまり広いターゲットに対して、差別化されたサービスを普及させることを指向している、ということです。

これにより価格のラインナップが当初の49,800円から増えていること、人気のない車種でも掲載し続けていること理由を説明できます。NORELは「乗り換えたり返したりすることが自由」、つまり「究極にスイッチングコストの低いクルマの所有方法」であることをコアバリューとしており、クルマや価格そのもので勝負していない、ということになります。

コスト・リーダーシップ戦略とNOREL

2016年8月、リリース当初のNORELはコスト・リーダーシップ戦略を採っていました。

すなわち、「買うより安い」「ポルシェに月額49,800円で乗れる」というものです。戦略にもとづき車両調達が行われ、ポルシェ以外にもベンツのSクラスやテスラなど、リリースのラインナップには高級車が並びました。

ただ、修理1回で100万円以上、オイル交換でさえ5万円以上かかるクルマを、49,800円で提供するのはとても難しい。2016年12月、NORELはコスト・リーダーシップから差別化へ、戦略転換を決めました。

今でも、「買った方が安い」「当初の価格でポルシェを出して欲しい」というご要望をいただくことは多いのですが、恐らく当面の間は「買える方は、買った方がいいと思います」というご案内になると思います。

NORELの付加価値は気軽さとフレキシビリティ、つまり所有と比較した場合の柔軟性 (まとまったお金が不要、ローンを組まない、いつでも返せる・乗り換えられる) であり、その付加価値を提供するためにはどうしても低価格で勝負することはできないのです。ただ、前述のようなご要望をいただくにあたり、前述の「付加価値」をしっかり伝えられていないのは事業部の力不足だと受け止めています。この部分はもっと伝える努力を続けてまいります。

また、利便性や簡便性を維持するため、「保険料込み」というスタンスも維持しています。保険料を外出しすれば見かけ上のコストを安くできますが、気軽さや自由を阻害する要因を増やすことはポリシーに反する、という考え方です。

本節の最後に、他に類のない付加価値を維持しつつ、一層コストを下げる努力、サービス品質を上げる努力を惜しまないことも、念のため申し添えておきます。

集中戦略とNOREL

NORELにとって、ターゲットの選択は非常に悩ましい問題です。クルマという、国内8000万人 (台) が利用される巨大な市場でどこを対象と捉えるのか。

「ファミリーでは?」

「法人でしょう」

「クルマ好き!」

「ライフスタイルの変化だから・・・結婚・出産を控えている層とか?」

様々な切り口で、様々なターゲット論が出てきますが、一旦「クルマを所有している人たち全体」と対象の市場自体は大きく捉えています。

もちろん、具体的な戦術レベル (マーケティングやセールスの施策レベル) ではSTPな設計が不可欠ですが (予算に限りもあるので) 、事業戦略レベルでは大きくおきたい。サービス設計は広く、マーケティングは狭く、というのが現在の方針です。

マーケティング施策は2017年6月くらいから、様々なターゲットに対して少しずつ受容性テストをしてきましたが、このところようやくいくつか相性のよいセグメントが見えてきました。戦術面の最適化は喫緊の課題であり、まだまだこれからという感じです。

最近まで、自分で広告運用をしていたので目線が戦術レベルまで下がっていたと反省しました。NORELのようなスタートアップでは運営のごく少人数で意思決定していかなれければならないため、戦略的視点と戦術的視点をそれぞれ混同しないように意識しながら、試行錯誤を続けていかないとな、と気を引き締めています 。

まとめ

まとめます。

  • NORELは、広いターゲットに対して、高付加価値なサービスを適正価格で提供する戦略を採っています
  • NOREL利用料は「買うより高い」ですが、その分「自由で気軽」です
  • NORELの市場は「所有」で、ターゲットは「所有することによってロックインされたくない人たち」です
  • マーケティング・セールス上のターゲットは施策の効率化のためにより細かくセグメントされるべきであり、引き続き試行錯誤していきます