新規事業開発の実務

どうせすぐ忘れるんでしょ\(^o^)/

【第2回】業界初「クルマのサブスクリプション」に挑む!新規事業のマーケティング

新規事業のマーケティングを紹介するエントリの第2回。

 

前回記事では業界初となる「クルマのサブスクリプション」ビジネスを立ち上げた際の状況と、その裏側で何を考え、実施してきたのかについて書いた。

 

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【図:予約再開からの立ち上げ期】

 

契約単価UPに成功し、収益性は改善したものの、CVR (見込み客から契約への歩留まり) が日に日に悪化し、追い詰められていく時期だった。また、その裏側でコスト削減を徹底し、PMF (プロダクトが正しい市場に価値を提供できている状態) にたどり着くまでの準備にリソースを割いた。

 

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今回は次のステップ、「調整期」について説明して書いていく。

 

■目次

 

どうしたら新サービスが受け入れられるのか

前回の立ち上げ期では、当初サービスの珍しさで集客したリードが枯渇し、徐々にCVRが悪化していく状態だった。その為、新たな顧客を呼び込むべく広告を始めることになる。

 

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立ち上げ期、高いCVRにつながっていたのは、ニュースメディアなどでNORELを知った「前向きな顧客」である。一方、広告で集まってくるのは「温度感の低い顧客」。広告の効果で黄色いグラフの新規訪問は増えるが、オレンジのグラフ新規予約数が増えないため、CVR (青線) は非常に低くなる。

広告の費用対効果としては非常に悪い。 新規事業における、2回目のスタート地点である。

1回目のスタート地点は「最初の顧客が付いた時」。新しいサービスに価値を感じ、お金を払ってくれる人が現れる。この瞬間、アイデアが初めてビジネスになる。NORELでいうと、2016年9月、プレオープンの瞬間だ。

そして2回目のスタート地点は、より広い市場の中で、1回目の出来事をより広い市場で再現するタイミング。初期の顧客は自分の信念でサービスを選ぶ人たちだが、今度はより合理的な市場に対してサービスを説明し、納得し、お金を払っていただかなければならない。 グラフを見ていただければおわかりだと思うが、とにかく最悪な状況だった。

 

ネットビジネスの定石、CPOチューニングが回らない

CVRが落ちていく状況は事前に想定できたが、状況はもっと早く改善すると思っていた。

インターネットサービスでは、安いPPC (Pay Per Click) 広告を使ってターゲットや顧客ニーズ、コミュニケーション (伝え方) などをテストし、定量的な根拠を元にサービスの方向性を定め、効率を改善していく。NORELも改善できるはずだった。 だが、これまでインターネットビジネスを中心に見ていた私は、「自動車」という商材、またはそれを提供するサービスについてあまりにも無知だった。

 

クルマという商材について学んだこと

NORELを担当する前、クルマという商材について、私の認識はこんなものだった。

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図は、大昔に自分が Slideshare に上げた資料から持ってきた。

原典は トライバルメディアハウス池田紀行さんの著書 に依る。自動車は基本的に検討期間が長い商材で、中でも輸入車は情緒的な、国産車は論理的な意思決定がされる傾向にあるとされている。

これに加え、担当してみて思い知ったNORELマーケティングの難しさはざっと以下のようなものだ。

  • 「クルマそのもの」ではなく「クルマとの関係性」をマーケティングしなければならないため、デモグラフィックなターゲティングがひたすら難しい (NORELでプリウスを選ぶ人と、ベンツを選ぶ人の共通点を探すのは非常に難しい)。加えて、明確にセグメントできないとネット広告の精度は上がらない (無駄打ちを減らせない)。
  • 「クルマが欲しい」タイミング自体が数年に1回と希少なので、リードタイムが非常に長い。結果、PDCAを回せる回数が非常に少なくなる。
  • 商材の成約単価が高く、マーケティングコストに対してコンバージョン数が少ないため、施策を定量的に判断する材料が集まらない。(集めようとすると膨大な予算が必要になる)

 

暗中模索の日々

チームは悩み、考えられるあらゆることをした。

テレビCMを打ってみたり、テレアポやFAXによるアプローチを試みたり、キャンペーンを行ってみたり。ランディングページや予約フォームをいじってみたり、A/Bテストも何度もやった。

その上、前項で書いた通り、定量的に判断する根拠が不十分な中、直感と手触りで意思決定しなければならない。

投資家の温度感が下がっていく中、事業部の危機感は募る。

 

この時期、裏側で起きていた変化として、事業部における各機能を内製化する動きが進んでいた。エンジニアとデザイナーを採用し、広告運用を内製化していった。また、社内の他部門と連携を強め在庫を増やし、価格下落の予測精度を高めていった。

結果として、サービス改善のPDCAの速度が飛躍的に早くなった。新しいアイデアは1週間と待たずに実装され、毎日何度も新機能や機能改善がリリースされた。

事業の行き先は顧客に聞いた。 顧客にお願いしてインタビューさせていただいたり、アンケートを取り満足・不満それぞれの理由を聞いた。サービスを退会する方からはなぜ辞めるのか理由を聞くようになった。

 

冬になると、経営陣の間では来期に向けて事業統廃合の議論がされはじめる。成果が出ない中、文字通り暗中模索する日々が続く。

 

転機が訪れたのは、2017年11月。 それ以降、加速度的に成約数が伸びていくことになる。

 

■次回記事

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