新規事業開発の実務

どうせすぐ忘れるんでしょ\(^o^)/

1-0.「参入領域を探す」基本の型

全体の目次 (迷ったらココへ) 

上記の記事で細々としたことを書いているが、もうすこしおおざっくりとした話も書いておきたいので番外編を設けた。

参入領域の検討についてどこから手を付けるべきか?

抑えるべきステップは以下だ。

  1. どの市場でやるか
  2. 何をやるか
  3. どうやるか 

非常にシンプルである。きっとなんとかなる。

 

最初に、なぜこの順序で考えるかを説明しておこう。

 

どのような順序で参入領域を探すのか (基本の型)

1. どの市場でやるか

そもそも、「事業開発せよ」という話が立ち上がる背景には暗黙的にどちらかの前提がある。

 

A) 既存の事業ドメインが飽和もしくはシュリンクするので、新領域に活路を見出す

B) 非常に有望な事業ドメインがあり、勝ち目もあるため取りに行きたい

 

(A) の場合、シュリンクする市場を捨て、自分たちの勝てそうな新市場や成長が見込める市場でシェアを獲得しなければならない。よってどの市場に行くかが重要である。

 

(B) の場合、事業開発のモチベーションが魅力的な新市場であるため、その可能性を探るのは当然である。

 

いずれにせよ、プロダクトやサービスという粒度でものを考える前に、それらを包含する市場セグメントの妥当性の検査が先立つというのは当然だと考える。

 

また、「市場」の切り口はシンクタンクや電話帳が決めるのではなく、自らの事業ドメインをどう捉えるかによっても変わってくる相対的なものである。事業ドメインを限定してしまったことによる機会損失を、「近視眼的である」と分析したセオドア・レビットの例を引用しておこう。

 

例) 近視眼的マーケティング (Theodore Levitt)

  •  鉄道会社
    「当時自動車航空機などの進展によって衰退へと追いやられた鉄道会社は、人や物を目的地に運ぶことと捉えず、車両を動かすことを自らの使命と定義したことが衰退の要因である。」
  •  アメリカ映画業界
    「映画業界は自らをエンタティメント産業と捉えず、映画製作会社と捉えてしまったことにある。」
  •  ハリウッド業界
    ハリウッドがテレビ業界を拒否してしまったのは、自らをエンタティメント業界の一員であることを定義していなかったからだ。」

 

自分たちの提供価値や強みを抽象化することで、市場の見え方が変わって本当に解決すべき課題が見えてくる。今ある姿だけに固執せず、曇りなき眼で確かめてみたい。

 

2. 何をやるか

 対象市場を決めたら、次は「そこで何をするか」。つまりどのような価値を訴求するのかを考えなければならない。

 

http://www.garbagenews.com/img17/gn-20171231-09.gif

 

世界の財の総量は増えているのだとしても、あなたが想定している対象地域ではどうだろうか。

 

対象地域の経済全体が伸びていない以上、あなたがこれから席巻しようとしている市場では、どこか他の事業から利益を奪い取らなければ成長できない。ゆえに、何をもって当該市場他社から、あなたのサービスが利益を奪い取るかを考えるのは非常に重要である。

参考までに、私が担当していたクルマのサブスクリプション事業はクルマのサービスでありながら、競合は金融業だった。クルマそのものではなく、「クルマにまつわるファイナンス」が事業の本質だったと考えている。

 

インターネットのメディア事業をやっている場合、競合は紙媒体かもしれない。音楽事業をやっているなら、レーベルかもしれない。つい同業他社を競合と捉え、その比較で「何をやるか」を考えてしまいがちだが、あなたや競合はだれから市場を奪っているのか。また、奪うに足る価値はなんなのか。

 

コンセプトフェーズでしっかりと考えておくべき事項である。

 

3. どうやるのか

戦略や意思決定は正しかったが、エグゼキューション (実行) のレベルが低くて負けた、というのはよく聞く話である。

 

知的レベルの高い会社は、「正しい戦略を見い出せば勝てる」と考え大枚をはたくが、実際にその成否を担うのは実行部隊の質である。

 

頭の良い部隊を組成すれば勝てるというわけではない。頭のよい部隊で勝てるのは、KSFが「頭の良さ」であるビジネスだけだ。経験豊富な部隊を組成すれば勝てるというわけではない。経験豊富な部隊で勝てるのはKSFが「経験値」であるビジネスだけだ。

 

 

その市場 (1) で、その価値を提供する (2) ために、どういうチーム (3) が必要なのか。

 

 

考え方はこの順番である。

 

チームが決まっている場合は、そのチームが所与の条件として (1) に影響を与え、(2) (3) が再帰的に発生すると考えればよい。