新規事業開発の実務

どうせすぐ忘れるんでしょ\(^o^)/

事業開発の実務 - 業務提携・アライアンス

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「直人さん、知り合いのツテ、全部頼んでみたけどダメでした・・。」

「まじか。なんて聞いたの?」

「○○できませんか?って。そしたら即答で ”やってません” 、って・・・。」

「バカヤロウ (たけし風に)」

 

毎度お世話になっております

新規事業開発のお仕事紹介、今日は「アライアンス・業務提携」編です。

事業開発に際して、規模が大きかったり、参入障壁が高かったりする場合、自社単独での遂行が難しい場合があります。また、ビジネス全体からみて専門性の高い一部だけどうしても自社ではまかなえないとか、特殊なケイパビリティ (企業固有の組織能力) が必要となったりした場合に、こちらから必要な能力を有する企業に対してアライアンスを持ちかけることになります。

※「アライアンス」というと、複数企業による大規模なパートナーシップをイメージする方が多いと思いますが、ここでは単に「提携」というような意味で使っています。

 

決めやすい提携・決めづらい提携

あなたが所属する企業が有名で、競争力があればあるほど、業務提携は簡単な仕事になります。合理的な内容であれば、提携先は喜んで基本方針に合意し、条件面での調整がメインになるでしょう。また、販促におけるタイアップや、販売代理店契約のように、業界慣習として一般的な提携も同様に提携の敷居は低いと思います。

 

新規事業での提携は難易度高い

今回のテーマである「新規事業」となると、よほどのことがない限り簡単に話がまとまるということはありません。

プロジェクトオーナーが有名な大企業であっても、新規事業の提携難易度は純粋にプロジェクト予算によって変わります。時価総額1000億円の企業がオーナーでも、プロジェクト予算が1億円しかないのであれば、資本金1億円のベンチャー企業とだいたい同じように見られます。

プロジェクト予算が小さいことで提携が難しくなる理由は、純粋に提携先のメリットが小さくなるからです。時価総額1000億円の企業が、主力事業における提携で主導権を握れるのは、彼らが何十億〜何百億という予算を持っており、提携先はその投資の恩恵にあずかることができるからにほかなりません。予算1億円のプロジェクトは、提携先に「その1億円のうち、いくらくらいがこの提携に割かれるの?インパクトあるの?」という目で見られます。

 

提携先のメリットを考える

提携を考えている時点で、相手には自分たちが持っていない、なにかしらのリソースやケイパビリティがあることになります。また、提携が成立した際に得られるメリットは明白です。

例えば・・・、子供向け教育アプリを作りたい。とします。

自分たちは「アプリ開発」という能力があるが、「作問 (問題を作ること) 」という機能は教育機関 (主に大学) やIR機能を有する企業 (塾、通信教育事業会社、出版社) などが有するケイパビリティであるため、提携を結びたい。

こんなケースでは、提携先が持つユニークな能力 (作問) と、提携が成立した時に得られるメリット (アプリ開発ができる) が明確です。一方で、ここまでの情報では提携先のメリットはないと言ってよいでしょう。

 

このように、提携を申し出る側は常に「提携の理由」と「提携のメリット」を自覚して動きますが、提携のオファーを受ける側の「理由」や「メリット」は意識して考えない限り勝手に生まれてくることはありません

 

メリットのない提携話

 まさかと思われるかもしれませんが「メリットのない提携話」というのは、ぜんぜん珍しくないです。30分くらいお話を伺ったあとで、「御社の強みと意図はよくわかりました。それで、この提携はうちに何のメリットがあるんでしょうか?」という質問に答えられず詰まってしまう。双方、貴重な時間を使ってのMTGでこんな結末はあまりにも悲しすぎます。

 企業のブランドや、巨大な予算があればそれでも成立するかもしれませんが、新規事業での提携はただでさえ難易度が高いので、上記のような基本を抑えていないオファーは一蹴されてしまうでしょう。

 ロールプレイの不足、とか資料の作り込み、という問題ではなく、それ以前に相手の立場に立って考える「想像力」がポイントになります。

 

手順

 ケースバイケースではあると思うのですが、私の場合「提携が必要になった」という場合にこんな順序で事を進めることが多いです。

  1. IR資料やインターネットニュース等で、提携先の課題を調べる
  2. 自社の手持ちリソースから、提携先の課題解決するソリューションを探し出す
  3. 正しいアプローチ先を見つける

 

提携先の課題を調べる

 相手のメリットを考えるのに、まずは調査が必要です。

 上場企業との、大きめの提携であればIR資料、特に決算説明会の説明資料がざっくりとした状況把握には役立ちます。こちらの立場が強くアグレッシブな提携であれば伸びている箇所、こちらの立場が弱ければ伸び悩んでいる箇所を調べます。

 今回は立場の弱い新規事業での提携なので、伸び悩んでいる箇所を見つけ、ソリューションを提示するという前提で話を進めましょう。

 まず、花形事業部や業界のトップは避けるようにします。拡大期の事業は投資対効果が証明されており、スピードを優先する傾向にありますので小規模な提携はまず受け入れられません。相手のビジネスにとってのインパクトを考える、という意味で、ここでもやはり「想像力」を働かせましょう。

 また、提携先の課題を調べるという意味ではニュースや業界誌、イベントなども役に立ちます。ここでは、個々の企業の課題ではなく、提携先が所属するビジネスドメイン全体のトレンドを把握することができるでしょう。

 例えば、出版、自動車、教育、医療、それぞれの業界が直面している変化や、新規参入の脅威、テクノロジーによるイノベーションなどは提案に際して非常に役立ちます。5Force や PEST などのフレームワークが観点の洗い出しに役立つでしょう。

 

提携先の課題を解決するソリューションを見出す

 課題解決というと大げさですが、要するに「なにでお役に立ちましょうか」というブレストです。提携先が、提携を受け入れてくれるためには以下のいずれかを満たす必要があります。

  1. 売上が上がる
  2. コストが下がる
  3. 顧客満足度が上がる

 「イメージアップで売上に貢献!」とか、「認知度UP!」みたいな間接指標への貢献を謳ってもいいのですが、KGI (要するに KPI の大元) から遠ざかれば遠ざかるほど「めんどくさ」と思われやすくなります。相手が集中して話を聞いてくれる、もしくは資料を見てくれるのはほんの最初だけなので、わかりやすくシンプルに作りましょう。

 新規事業を企てるような皆さんでしたら、個人の能力とか、資金とか、アセットとか、技術力とか、何かしら強みがあるはずです。ベン図の論理積を探しましょう。

 ここで行き詰ったからといって、生煮えのまま相手先に持っていってはいけません。当然商談は進まないですし、場合によっては「仕事のできない人」「時間を無駄に使わせる人」という印象を残すことになります。

 

正しいアプローチ先を探す

 提案ができたら、正しいアプローチ先を探して持っていきましょう。

 先ほど、提携先の課題を探す際に「花形事業を避ける」と書きました。一方で、成長が頭打ちになっている「過去の花形事業」は可能性があります。そのような状態が2期〜3期続いた企業では「新規事業開発」のチームや部隊ができている場合があります。チームができていな場合でも、「社長室」などに経営者の腹心が、単独もしくはごく少数でうごいているケースがあります。そのようなケースでは会社としてイノベーションを求めている時期なので、直近の成果より中長期のインパクトを求める新規事業の提携は受け入れられる可能性があります。

 また、FacebookTwitter などで提携先の「変わり者」を探すのはよい方法だと思います。サラリーマンは、知識と経験を詰めば詰むほど保守的になります (というようなことを奥山清行さんが言ってました)。

 新規事業との提携は、結果が不透明なので保守的なサラリーマンには嫌がられる可能性があります。イノベーションを好む変人はどこの会社にも必ず数名はいますので探しましょう。そういう人間は社内で煙たがられていることも多いので、同じ会社の人に聞けばすぐ教えてくれることもあります。

 

提携したい旨を伝える

 ここまで準備し、ライトパーソンとの面談に望むのであれば、あとは熱意とロジックです。先方のメリットだけをただひたすら伝えましょう。自分たちのメリットに言及してはいけません (自明だから)。相手側から「そんなことしてもらっていいんですか?」と聞かれた時に「だいじょぶです」くらい言っておけばいいです。

 

陥りやすい罠

 ここまで、もっぱら要するに「相手の立場になってオファーを作る」「準備する」というようなことを書いてきました。最後に、思いつく範囲で自分が過去にやってしまったミス、ハマった罠を列挙しておきたいと思います。

人の顔を潰す

 提携先候補とつながるにあたって、知人の紹介を使うことも多いと思います。知人に繋いでいただく場合は、より入念に準備をしましょう。自分がつまらない提案をしてしまうと、紹介してくれた人に迷惑になります。自分が凹んでもいいですが、他所様に迷惑をかけるのは絶対によくないです。ご縁を大事にしない人に、次のご縁は巡ってきません。

文字の多い資料、複雑な図

 提携のオファーのような、どう転ぶかわからない資料にやたら情報を詰め込むのはやめましょう。MTGの場では、ざっくり意図を理解してもらうのが目的で、その後のディスカッションで正解を模索していくことになります。読むだけで疲れるような資料は効果的ではないと思います。

縁故だけに頼る

 知り合いの紹介、というのは案外あてにならないものです。「だれかいい人いないー?」と聞いて回るくらいになると、聞いた相手が自分の課題を深く理解していないためミスマッチがおきます。人を頼る時は、その分野に明るい人を数名に絞って丁寧にコミュニケーションしましょう。

 

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終わりに

と、いうわけで新規事業の仕事紹介ですが、いかがでしたでしょうか。まあ、よくわからないことをしでかそうとしているので、何にしろコミュニケーションは大事なんですが、相手の気持ちをおもんばかる「想像力」というものにも、併せて目を向けていただければと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。