新規事業開発の実務

どうせすぐ忘れるんでしょ\(^o^)/

1-1. 投資家の嗜好性把握 (後編)

お世話になっております。
カーマンライン株式会社の直人です。

前回、「社内起業家が、顧客より上司を優先すべき理由」という、若干あおり気味のタイトルで事業開発のドメイン検討におけるオーナーシップ理解の重要性を説明しました。

 

■前回記事

 

社内起業家や BizDev による事業開発の現場では、投資家・スポンサーを変えることができないため、最初からその意向をきっちり汲んでおくことで、その後のスムーズな意思決定を実現することができるでしょう。

一方で、いかに投資家・スポンサーの意図を的確に汲み取り事業化にこぎつけたとしても、その後エンドユーザーや市場に製品・サービスが受け入れられなかったら元も子もありません。

投資家を見るべきか、マーケットを見るべきか。今回は、事業開発担当としてのこのあたりの立ち回り方について説明します。

 

理想的なパターン

事業開発担当が「これだ!」と思った仮説に、投資家やスポンサーといった事業オーナーが「確かに」と納得して承認。リリースしてみたところ思惑通りに市場ニーズがあった。

これが理想的なパターンです。 

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市場の潜在ニーズを捉えていた場合、成功するかどうかは執行のレベルにかかっています。そこまでたどり着くことができたなら、事業開発としては一定の結果を出したと言ってもよいでしょう。

 

事業開発担当のアイデアが、事業化に至らないパターン

社内起業家が、顧客より上司を優先すべき理由」で指摘したのがこのパターンです。事業開発担当が「これだ!」と思ったビジネスが事業オーナーの見立てと噛み合わず、事業化承認が降りないというケース。

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事業開発担当者が、調査やテストマーケティングの結果、どれだけ価値仮説に確信を持っていたとしても、事業化に至らなければその仮説は永遠に検証不可能です。

 これは事業開発担当者の企画が未成熟なケースはもちろん、社内のネゴシエーション経験が浅く、決定権限者とのすり合わせがうまくいかない場合に発生します。また、事業オーナーの好みと事業開発担当者の企画が合わない (いわゆる相性) 場合などもあるでしょう。

いずれにせよ、企画を世に出すことができなければ事業開発担当の実績としてはゼロになるため、サラリーマンとしてはこのハードルを超えることが最初のチャレンジとなります。

 

事業化したものの、ニーズがないパターン

次のパターン。

事業オーナーの意思を汲み取り、承認を得て事業化したものの、ニーズがなかった、ということもあり得ます。

このパターンは、本当にニーズがなかったのか、執行のレベルが低くて捉えきれなかったのかは最後まで判断できないものの、ひとつのトライアルとしては価値があったと言えるでしょう。

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事業オーナーの観点で注意したいのは、会社の意思決定権が強すぎることで、事業開発担当が市場ニーズではなく、自分 (意思決定者) の方を向いていないか、という点です。企業の社内コミュニケーションにおいては、現場担当者は意思決定者の好みを分析し、それに合わせるということが、ごく一般的に行われています。

事業開発担当者は、正しい調査やテストマーケティングを通して徐々に潜在ニーズについて「手触り」を持ち始めます。つまり、意思決定者が持っていない情報を持ち始めるということです。意思決定をする方は、この情報の非対象性を考慮した上で、事業開発担当者の価値仮説に耳を傾けるよう心がけましょう。

 

事業開発担当者にできること

事業開発担当者ができることとしては、「理想的なパターン」を目指しつつ、まずは事業化までこぎつけること。そして事業化後にピボット (参考 : 「ピボット」とは? ) できる余地を残しておくことです。 

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事業化承認を得て初めて、「リーン・スタートアップ」や「顧客開発 ―「売れないリスク」を極小化する技術」といったスタートアップのテクニック・ノウハウが活かせる状況になってきます。

とは言え、油断してはいけません。スタートアップと同様、予算や資源が枯渇する前に潜在ニーズの特定を行わなければ、シードステージのスタートアップと同様に事業を継続することはかなわないでしょう。

 

まとめ

事業開発においては、事業開発担当自らが調査やテストによって正しい価値仮説を導けるだけでなく、事業オーナーとのすり合わせや交渉を通じて事業化までたどり着くこと、そしてその後は潜在ニーズの探索を自らリスクを取って執行するフェーズに切り替えることを説明しました。

これらは単純な力学ですが、例えば受託開発の現場などクライアントワークでも同様のジレンマが存在するため理解しておいて損はないと思います (これらの現場では他にゼロサムゲームの中でアウトプットが均衡する力学が存在するため、機会があれば紹介したいと思います)。

 

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